金融サービスの旗手を目指せ

アジア新興国に進出した日本企業向けの金融サービス需要が増大している。貿易、商流の変化、販売や投資に伴う資金を現地で調達する傾向が強まっていることが原因だ。
 具体的に何か求められているのか。第1に貿易金融や、購入した機械などの動産を担保にした借り入れ、現地での売り上げ増に伴う運転資金需要、アジア域内のグループ企業の資金管理の効率を高める手段の提供だ。製造業に加え、最近は小売りなど内需産業も現地に金融統括拠点を設立している。グループ企業間で債権債務を相殺し、余裕資金を纏めて管理して資金効率を高めるのが狙いだ。
 第2はM&A(合併・買収)。飲料、製紙、物流、日用品など幅広い業種で需要が増大している。
 第3は電力、鉄道等のインフラ関連の資金調達需要だ。邦銀はこれらの要望に対し、①資金決済、貿易金融、資奈管理等商流を捉えたトランザクションバンキングの専門部署の設置②クロスボーダー取引に係る規制、税制などの情報提供による金融統括拠点蔚立支援③資金管理サービスの提供などで応えてきた。
その結果、邦銀はアジア域内の資金管理サービスやプロジェクトファイナンス分野の実績で上位に並んでいる。
 しかし、主要上場企業の邦銀への評価は厳しい。アンケート調査では約4割の企業が
「M&Aや海外事業の情報が少ない」 「海外での融資、決済などのサービスが不十分」と回答。先進企業は邦銀と外国銀行、進出先の国の銀行を比べ、最良のサービスを選択するからだ。
 邦銀は今後、顧客の需要に対応することだけで満足せず、需要を先取りした先進的な金融サービスを提供し、世界の金融市場の旗手を目指すべきだ。実現には金融サービスや地域の専門家の育成、グローバル情報ネットワークの構築などが課題となる。邦銀は信用力で欧米銀に比べ優位にあり、今は飛躍の好機だ。

2012.10.11