日本企業の海外投資 ASEANシフト鮮明 中国の2倍に 上期1兆円 拠点を分散

 日本企業による海外での工場建設などを指す対外直接投資が、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けにシフトしている。2013年1~6月の投資額は約1兆円と前年同期の4倍に膨らみ、上半期で過去最高水準になった。中国向けの2倍に及ぶ。中国の賃金上昇や日中関係の冷え込みなど政情リスクを背景に、進出先を中国以外に分散する企業が増えている。
 国際収支統計によると、1~6月の日本から海外への直接投資は5兆4285億円と前年同期比13%増えた。ASEAN向けは4.2倍の9986億円に急増。現行統計で遡れる05年以降では過去最高額となった。半年間ですでに昨年の1年間の実績を上回った。
 半面、中国への直接投資は18%減の4701億円にとどまった。昨年後半以降、中国で反日デモが激しくなった影響に加え、中国の人件費の高騰もあり、投資の軸足を東南アジアに移す企業が増えている。
 15年にはASEAN経済共同体が発足し、域内の関税が原則撤廃される。ASEANの経済活性化をにらんだ投資を呼び込んでいる。業種別では製造業が目立つが、金融や小売業など非製造業にも広がっている。
 国別ではインドネシア向けが最も多く、44%増の2440億円。JFEスチールは6月、自動車用鋼板の生産をインドネシアで始めると発表。3億ドル(約285億円)を投じて工場を新設し、16年3月の稼働を目指す。
 2億人以上の人口を抱えるインドネシアは消費地としても注目を浴びつつある。6月には伊藤忠商事が雪印メグミルクなどと建設したプロセスチーズエ場が完工し、稼働を始めた。
 次いで多かったのがベトナムで62%増の2306億円。中国に比べて3分の1ともいわれる人件費の低さに着目した進出が目立つ。日清製粉グループ本社は15億円を投じ、14年秋にレトルト食品の工場を新設する。
 日本企業からのASEANへの投資の約99%はインドネシア、ベトナム、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシアの6力国に集中してきた。1~6月は6力国以外への投資が約80億円と前年同期の2.4倍に拡大した。これまで日本企業の進出が多かったタイから周辺国へ製造拠点などを移す「タイプラスワン」と呼ばれる動きだ。
 11年のタイ洪水の被害を受け、生産拠点の分散ニーズが高まっている。メコン流域の物流網の整備が進み、タイから人件費がさらに低いラオス、カンボジア、ミャンマーに進出する企業も増えてきた。二コンはラオスにデジタル一眼レフカメラの新工場を建設中で、10月に操業を始める予定。タイで生産する主力普及機の一部工程を移す。(日経新聞2013.08.11)

2013.08.11