中国事業の売上高 「尖閣前に戻らず」3割 戦略拠点8割なお重視 進出企業調査

 日本経済新聞社が22日まとめた「中国進出日本企業アンケート」で、回答企業の3割で中国事業の売上高が昨年9月の沖縄県尖閣諸島を巡る日中対立以前の水準に回復していないことが分かった。反日機運を感じる企業も依然8割に及ぶ。景気減速の懸念も強まるが13億人市場は世界戦略に欠かせないとの見方は強く、8割以上が今後も中国市場を重視している。
 昨年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化したことで中国各地で激しい反日デモが起きた。今回の調査では日中対立で事業に「影響を受けた」とする企業は7割に達する。具体的には「販売減少」が72%と最も多く「顧客開拓の停滞」 (41%)や「公的機関や国有企業との取引難」 (24%)が続く。
 影響を受けた企業に中国事業の直近の売上高の水準を聞いたところ4割が「問題発生前まで回復」、2割弱が「問題発生前を上回る」と答えた。ただ3割は問題発生前に届いていない。特に自動車など消費財や小売り、旅行などサービスで回復の遅れが目立つ。昨年9~10月の日本車販売は前年同期比で3~5割減った。今春以降は前年実績を上回る月もあるが一進一退が続く。
 尖閣問題を巡る反日機運は依然残る。「尖閣問題が表面化する前に戻った」のはわずか11%。65%が「一時より和らいだ」としたものの反日機運を感じており「引き続き厳しい」も2割近い。
 足元の景況感は「景気拡大ペースが緩やかに鈍ってきた」が74%と最多。2013年後半の見通しは8割強が横ばいか緩やかな減速と答えた。景気回復の時期も「何とも言えない」が71%を占め先行きも不透明だ。
 進出企業の成長力にも陰りが見える。13年度の中国売上高が前年度より「増える」とした企業は68%、増益見込みは40%だった。85%が増収、59%が増益をそれぞれ予想した12年度調査より減った。設備投資を前年度から「増やす」とした企業も36%で前回の67%を大幅に下回った。「減らす」とした企業は前回の2%から11%に増えた。
 ただ中国が重要な戦略拠点であることには変わりない。新日鉄住金は中国で自動車向け高級鋼板の合弁工場の新設を計画。三井不動産も大型商業施設を上海に設ける方針など、日本企業は巨大市場の取り込みになお前向きだ。
 今回の調査でも販売や生産・調達の拠点としての今後の展開について, 「変更はない」が6割を占めた。販売増のため拠点の拡大を検討あるいは実行している企業も3割弱あった。さまざまなリスクを乗り越えていく経営基盤づくりが一段と求められそうだ。(日経新聞2013.08.25)

2013.08.26