世界ICTサミット2012 ネット革命を成長に

 米交流サイト(SNS火手の「フェイスブック」が上場し、時価総額が初値で9兆円を超えるなど、新しい情報通信技術〒CT)が「スマート革命」を巻き起こしている。スマートフォン(尚機能携帯電話=スマホ)やクラウドコンピューティングなどの新技術は、ビジネスや社会をどう変えていくのか。日本経済新聞社と総務省は6月11、12日の2日間、世界のICT分野の経営者や専門家を東京・大手町に招き、「スマート革命が促す新成長戦略」をテーマに「世界ICTサミット2012」を開催する。

若者活かす経営 重要        ソニー会長 ハワード・ストリンガー氏
スマートフォンやタブレット(多機能携帯端末)が人気を呼んでいる。理由はハードの魅力に加え、サLビスやコンテンツと一体化した利用者体験にある。その点、日本はハードのものづくりが得意だったことから、ソフトカが求められるデジタル化でつまずいてしまった。ソニ―も例外ではなかった。
 日本企業に技術力がないわけではない。だが既存の商品を改良したり、小さくしたりする能力は高いが、全く違うものを生み出そうとする力が弱い。その原因は個人が組織の中に埋もれてしまう経営の仕組みにあるのではないだろうか。
日本の電機メーカーは戦後はどこもベンチャーだった。やがて大企業になり、`商品開発も組織の論理が優先するようになった。私は縦割りの弊害を「サイロ」と呼び、組織の壁をなくすことに腐心してきたが、残念ながらまだ道半ばだ。
 日本企業が苦戦している直接の原因は、円高やリーマン・ショック、東日本大震災、タイ大洪水などにある。言い訳に聞こえるかもしれないが、追い風を得たのがサムスン電子など韓国企業だ。
 ウォン安や政府支援により、世界市場でのシェアを高めた。日本も競争力強化のための環境整備を官民一体でもっと考えるべきである。
企業では若い人材の活用が重要だ。以前、米家電見本市に出展する際、有機ELで何か面白い3D(3次元)機器ができないかと社内で話したら、若い技術者が夜も寝ずに数日間でユニークな表示装置とソフトをつくり上げた。技術力はある。それを十分に引き出すのが経営の課題だ。
 スマート革命ではハードとソフトの融合が鍵を握る。長年のソニーの課題でもある。我々も映像や音楽などの配信基盤をつくり、利用登録者数が1億を超えた。これからはグローバルなネットの世界を前提に地域に見合ったコンテンツを流通する仕組みが重要だ。日本も法制度や流通の面でもっとネットで配信しやすい環境をつくっていく必要がある。




2012.06.11