通いたいビジネススクール 本社など調査 米ハーバード大が首位 実践的内容に定評

 日本経済新聞社と日経HRが共同で実施した「ビジネススクール調査」でビジネスパーソンに通ってみたい国内外の学校を尋ねたところ、上位10校のうち首位の米ハーバード大学をはじめ米国勢が5校を占めた。国内勢は4位の慶応義塾大学など3校、欧州勢では英ケンブリッジ大学など2校がランク入りした。上位校が選ばれた理由や教育の特徴などをまとめた。
 調査では、国内外のビジネススクールの学費を社費や無償の奨学金でまかなうことができ、それぞれの国・地域の生活費もほぼ同じと仮定。通ってみたいビジネススクールを1~3位まで順位づけて挙げてもらい、1位を3点、2位を2点、3位を1点として総合点を集計した。
 実例基に議論
 首位の米ハーバード大経営大学院は総合点が2635点と、2位の米スタンフォード大学経営大学院に2倍近い差を付けた。選んだ理由(3つまで)ではトップが「国際的なランキングで評価されている」(46.9%)、2位が「知名度が高いから」(38.0%)だった。
M&A(合併・買収)などの実例に基づく教材「ケーススタディー」を学生が読み込んだうえで、議論する実践的な授業に特徴がある。
 日本の経営者では、口―ソンの新浪剛史最高経営責任者(CEO)や楽天の三木谷浩史会長兼社長らが卒業生。新浪氏は世界中から集まった学生の中で「いかに自分の意思を伝え、他の人たちを納得させるコミュニケーションカとクラス全体を自分の考えのもとに引っ張っていくリーダーシップの大切さ」などを学んだという。
 2位のスタンフォード大院も選んだ理由で「国際的なランキングで評価されている」「知名度が高い」が上位となったが、「カリキュラムが充実している」がハーバード大院を3.6ポイント上回る12.8%となったのが目立った。IT(情報技術)企業が集まるカリフォルニア州シリコンバレーにあることもあり、卒業すると起業したりIT企業の幹部に就いたりするケースが多い。
 3位は米マサチューセッツエ科大学(MIT)スローン校。工科大学が開設したビジネススクールということもあり、教育で利用するITのインフラが充実しているという。このほか、米国勢では6位にコロンビア大学経営大学院、7位にカリフォルニア大学バークレー校(ハース・スクール・オブ・ビジネスが入り、層の厚さを見せた。
 4位に慶大院
 4位には慶大大学院経営管理研究科経営管理専攻が入ったが、総合点は3位のMITスローン校と比べ半分以下の413点。選んだ理由では「知名度が高い」(53.6%)。
 「卒業生が優秀」(21.3%)、「企業から評価されている」(15.5%)が多かった。
 慶大のビジネススクールは1962年に設立され、78年に日本初の2年制MBA(経営学修士) コース、大学院経営管理研究科修士課程の認可を受けた。幅広い業界に経営トップや起業家を挈出している。ハーバード大院と提携して発足した経緯もあり、多くのケーススタディーを扱うことも特徴だ。
 慶大院に続いて5位にランク入りしたのは、早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻だ。選んだ理由では慶大院と同様に「知名度が高いから」「卒業生が優秀だから」などが上位になった。このほか、日本勢では、9位に京都大学大学院経営管理教育部経営管理専攻が入った。京大院は選んだ理由で「卒業生が優秀だから」が30.3%と高いのが目立った。
 欧州勢では、8位に英ケンブリッジ大ジャッジ・ビジネススクール、10位に英ロンドン大学経営大学院が入った。ケンブリッジ大のビジネススクールは科学に基づくマネジメント教育に強みがあるとされ、地域の産学連携にも貢献してきた。口ンドン大院は国際金融ビジネスの中心地、英シティーに近いこともあり、金融の実務や理論の教育にも力を入れている。
 上位10校には入らなかったが、日本を除くアジア勢で最上位となる13位にシンガポール国立大学ビジネススクールが入った。選んだ理由は「国際的な人脈づくりに役立つ」(48.1%)、「新興国でのビジネスに役立つ」(36.5%)の2つが上位10校と比べても高かった。今後、新興国市場で仕事の成果をあげることを目指すビジネスパーソンの関心がさらに高まる可能性もある。
 中国もビジネススクールに力を入れているといわれる。だが、今回の調査では香港から40位まででにランク入りした3校のうち最上位が26位に入った香港大学ビジネススクール、中国本土の2校のうち最上位が33位の北京大学光華管理学院となるにとどまった。日本のビジネスパーソンからの知名度や人気ではなお成長途上にあるようだ。

東日本 慶大院 西日本 京大院
 調査では、国内で東日本と西日本で通ってみたい大学院やコースも1位から3位まで挙げてもらい、それぞれの地域ランキングも作成した。首位は東日本が慶大院経営管理研究科経営管理専攻、西日本が京大院経営管理教育部経営管理専攻。いずれも昨年調査に続いて首位を堅持した。
 慶大院を選んだ理由(3つまで)は「知名度が高い」が46.9%で最多。2番目が[企業から評価されている](23.7%)、3番目が「ビジネススクールとしての歴史がある」(20.3%)だった。京大院を選んだ理由は「知名度が高い」(56.7%)が最多。これに「卒業生が優秀」(20.8%)、「企業から評価されている」(13.9%)が続いた。
 東日本2位は昨年に続いて早大院商学研究科ビジネス専攻だったが、3位には一橋大学大学院商学研究科経営学修士コースが6位から浮上した。選んだ理由で「知名度が高い」が46.5%にのぼった。伝統校の実績が見直されているようだ。
 西日本では、首位から4位までは昨年と同じ順位。5位の九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻が昨年の6位から1つランクを上げた。選んだ理由はトップが「知名度が高い」(43.1%)、2番目が「立地条件がよく通いやすい」(24.8%)だった。

受講に興味はあれど・・・・ 勤務先の支援は少なく
 調査では、ビジネススクールで学ぶ意欲や姿勢についても尋ねた。「国内のビジススクールの講義を受けてみたいか」との質問で、すでに受講経験がある人が16.9%、これから「受けてみたい」人が74.7%を占めた。ただ、[受けてみたい]人の約7割は「機会があれば受けたい」と答え、すぐに実行に移すほどの積極性はないようだ。
 その背景として考えられるのが、勤務先における支援やMBA(経営学修士)に対する評価の問題。勤務先で「会社負担によるビジネススクールへの派遣制度がある」と答えた人は約2割にとどまった。「MBA取得に対して、勤務先で評価・処遇する制度があるか」との問いには、93.1%が「ない」と回答した。
  「受けたことがある・現在受けている」「受けてみたい」人の理由も控えめな内容が目立つ。回答では「職務上、必要な知識・スキルや経営に関する理論を学びたい」(59.9%)が最多で、現在の職場でがんばろうとする人が中心。MBA取得を起業や転職などにも生かす例が多いとされる欧米とは対照的といえる。(日経新聞2013.07.16)















2013.07.16