国内TOB 急回復

7月以降15件 異業種買収目立つ

上場企業を対象としたTOBが増えている。今年4~6月期は計5件だったが、7月以降はすでに15件にのぼった。事業の多角化を狙って内需関連企業が異業種の買収に動いているほか、大手証券会社系の投資会社などが保有株の売却を進めているためだ。
4~6月期の上場企業を対象としたTOBは5件だった。東日本大震災の影響で株式市場が不安定だった事情もあり、2003年以降で最低の水準となった。これに対して7月は6件、8月は9件(買い付け前を含む)と急回復している。
特に目立つのは、事業の多角化を狙った内需関連企業による異業種企業の買収。家電量販店のヤマダ電機は今月、住宅メーカーのエス・パイ・工ルを子会社化すると発表。河合塾グループの持ち株会社、KJホールディングスも学生マンションの毎日コムネットヘのTOBを実施している。
高齢化に伴う国内市場の縮小をにらみ、内需関連では異業種を取り込んで収益源や販路の多様化を進める動きがある。ヤマダ電機はエス・パイ・エルを買収することで、家電や太陽光発電、蓄電池を住宅の購入者に販売する考えだ。
投資ファンドが保有株式の売却を本格化しているという事情もある。介護サービスのニチイ学館は今月に入って英会話教室GABAへのTOBを発表したが、同社の筆頭株主は大和証券グループ企業投資だった。エス・パイ・エルの筆頭株主も野村ホールディングス系の投融資会社だ。
投資ファンドが株式を保有するのは通常は3~5年だが、08年のリーマン・ショック以降は株価低迷で売却が進まなかった。投資ファンドは豊富な手元資金を抱え、TOB先を探している内需関連企業に着目し、株式の売却を進める方針だ。