日本での収益の柱は ゴールドマンサックス証券社長 持田昌典氏

 バブル崩壊後の日本で最も成功した外資系金融機関の一つゴールドマン・サックス証券。2001年から同社を率いる持田昌典社長に戦略などを聞いた。
 ―-日本での今後の収益の柱はなんですか。
  「M&A(合併・買収)の助言や、株式・債券の引き受けなど投資銀行業務は厳しい収益環境が続いている。特に、日本のM&A市場は以前から欧米に比べ厚みがない。欧米では必ず1日に10件はM&Aの発表があるのに対し、日本では発表が無い日がある」
  「今は資産運用関連ビジネスによりチャンスがあるとみている。日本でもリスクに見合うリターンを求める運用ニーズが増えている。また、プリンシパル投資(自己資金を基にした投資事業)にはまだ可能性がある。旧三洋電機の優先株への投資など、過去10年で
かなりの実績をあげた。今後は特に再生可能エネルギーに注目している」
  ――国際的には金融機関の自己勘定投資を規制する方向です。
  「投資手法に知恵を働かせる必要はある。これまで手掛けてきたような投資が実質的にできなくなるとは考えていない」
  --日本の金融機関も国際化を目指しています。
  「文化の違いの問題もあり、とてもチャレンジング(困難)だが、グローバルに展開することは必須だ。海外企業も自国以外では苦労する。もともと、グローバルに成功する例は世界的にみても少ない。いろんな文化に対応できる人材をいかに育てるかが大切だ」
  「ゴールドマンも世界の全地域でうまくいっているわけではない。日本法人はグループの中でも、グローバルとローカルのバランスの良さが注目されている。日本の外資系の中では当社は最も現地化している」
 --現地化の秘訣は。
  「ハイリターンのビジネスだけでなく、地方での地道な仕事も時間をかけてやってきた。日本の金融機関と対抗するためにも、顧客との長期的な関係構築を重視してきた」
  「東京の投資銀行部門にはいま外国人が一人もいない。その代わり、欧米だけでなく南米やアフリカ、東南アジアのバンカーが毎週およそ10人は来日する。日本オフィスはローカル色が強いが、サービスはグローバルだ。今や国内企業同士の合併でも、高い品質の助言をするにはグローバルな情勢理解が不可欠だ」

2012.09.24