日本取引所」を承認 アジア金融の中核を目指す。 東証・大証臨時総会

 東京証券取引所グループと大阪証券取引所は20目午前、2013年1月の経営統合を採決する臨時株主総会を開き「日本取引所グループ」の発足を正式に決めた。低迷する時価総額や売買を活性化しアジアの金融センターとしての地位の確立を目指す。日本株投資の魅力回復に加え、デリバティブ(金融派生商品)など成長分野の強化が課題になる。
 東証の株主総会では日本取引所グループの最高経営責任者(CEO)に就任する斉藤惇社長が「アジアで最も選ばれる取引所を目指す」と意欲を示した。大証の総会では新会社の最高執行責任者(COO)に就く米田道生社長が「海外では合従連衡が進み(我々も)より一層の競争力強化が必要になってきた」と統合の必要性を強調した。
 13年1月1日に人証が東証を吸収合併し、持ち株会社の日本取引所グループに移行する。東証、大証、清算業務の日本証券クリアリング機構、東証自主規制法人の4子会社が傘下に入る。日本取引所グループ株は東証と大証に重複上場し、1月4日から投資家が売買できる。両取引所を合算した上場企業の時価総額(9月末時点)はロンドン証券取引所を抜い世界3位に浮上する。
 13年7月には現物株市場を東証に統合。清算業務、上場審査や市場の不正取引の監視を担う自主規制業務も統合する。重複上場企業は上場維持費用を削減でき、証券会社はシステム投資の負担を軽減できる。清算業務の統合でデリバティブ取引を手掛ける投資家は取引所に差し入れる証拠金を減らすことが可能で、資金効率の向上につながる利点もある。デリバティブ市場は14年1月にも人証に統合する。
 日本取引所グループの最大の課題は世界の中で地盤沈下が続いてきた日本市場の成長戦略をどう描いていくかだ。投資家の「日本株離れ」で現物株市場の売買代金はピ犬クの07年に比べて半分以下に落ち込んでいる。デリバティブなど成長分野の育成が急務だ。アジアでもデリバティブ取引では世界有数の市場に成長したシンガポールや韓国市場が先行している。
 株式投資の魅力回復に向け、現物株では新規上場数の回復などが課題となる。11年の国内新規上場数は37社とピーク時の4分の1以下だ。中国企業の上場が相次ぐ香港市場の半数強にとどまる。
 株や債券などの証券取引だけでなく世界で拡大取引もワンストップで取り扱う「総合取引所」の実現に向けた法律が9月に成立している。アジアの金融センターを目指すうえで総合取引は大きな課題となるが、「監督官庁の利害も絡むため、実現には時間がかかる」との見方が大勢だ。まずは証券取引で存在感の確立が求められる。
 システム統合による統合効果の早期実現が求められる半面、インフラとしての市場の安定運営も必要だ。東証では2月に続いて8月にもシステム障害が発生した。現物株の取引システムは東証の「アローヘッド」、デリバティブは大証の「J-GATE」にそれぞれ集
約するが、「システムの統合には万全を期したい」(幹部)としている。

2012.11.21