海外M&A 円高で最多 投資先も分散

 日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が一段と拡大している。2012年は前年比1割増の500件に迫る見通しで、バブル期の1991年(463件)を上回り、22年ぶりに過去最多を更新する。強い円を背景に「買い手」として存在感を高めている。中国への集中リスクを分散するため東南アジア企業の買収も急増している。
 M&A助言のレコフ(東京・千代田)によると12月14日時点の海外M&A件数は489件で既に11年実績を34件上回った。金額ベースでは昨年比8%増の6兆8895億円。円高で円換算の金額は目減りするが、それでも過去3番目の高水準だ。米トムソン・ロイターによると国籍別の買い手として日本企業は米国に次いで2位となる。
 背景には国内需要先細りへの危機感がある。電通は約4000億円を投じて英広告大手のイージスグル~プを買収。イオンは仏カルフールからマレーシア事業を買収しアジアシフトを加速する。
 上場企業で約60兆円という豊富な手元資金に加えて、円高で円換算の買収額が少なくなることも企業の背中を押す。ソフトバンクは「米国に打って出る好機」 (孫正義社長)と判断、1兆500O億円を超す米携帯電話大手の買収を決断した。
 戦略地域のアジアでは傾向が分かれた。中国向けは秋□に減速し、年間では昨年並み(44件)にとどまる。一方、インドネシア企業の買収は19件と昨年の約2倍。タイ、マレーシア、ベトナムも各10件以上と高水準だ。
 足元では円高修正が進むが、「中長期の視点から引き続き海外展開の意欲は強い」 (メリルリンチ日本証券)という。

2012.12.17