フィンテック 金融*IT開発加速 送金24時間化・保険料きめ細かく

 IT(情報技術)を活用した新しい金融サービス「フィンテック」の取り組みが主要な金融機関で活発になっている。銀行は送金の24時間化や手数料引き下げを見据えた開発を始め、保険会社はビッグデータの活用を模索。日本銀行や金融庁も普及を後押ししようとしている。
 日銀は23日、フィンテックをテーマにした討論会を初めて開いた。金融機関やIT企業の担当者ら約60人が参加。「ブロックチェーン」と呼ばれる新技術を証券分野で活用したみずほフィナンシャルグループ(FG)の実証実験などが紹介された。黒田東彦総裁は「決済など金融の根幹をなす活動は情報処理そのもの。情報技術の進歩はこれらの活動全般に影響を及ぼしうる」とあいさつし、新たな金融サービスの可能性に期待を示した。
 フィンテックへの取り組みは、このところメガバンクや有力地方銀行などで急速に本格化している。
 地銀最大手の横浜銀行と住信SBIネット銀行は、ブロックチェーンを活用して低コストでただちに送金できるシステムの検討を始めた。実用化すれば国内外への送金が24時間でき、銀行側の送金費用も現在の20分の1~10分の1に減らせる。
 第一生命保険は、糖尿病など病気に関するビッグデータを人工知能で分析し、きめ細かい保険料に反映させる研究を進める。日本IBMなどと共同で病気になりやすさといったリスクの高低を分析し、持病がある人にも入りやすい保険商品の開発を目指す。
 フィンテックへの取り組みはITベンチャーなどが先行。送金や支払いといった分野で既存の事業を脅かされかねないとの危機感が、大手金融機関の背中を押している。

法改正で普及後押し
 日銀や政府もフィンテックの普及を後押しする。日銀は4月、専門部署の「フィンテックセンター」を立ち上げた。岩下直行センター長は電機メーカーへの出向経験もあり、職員数人とともに海外事例の研究なの出資制限を緩和し、銀行がフィンテック企業を子会社にできるようにした。ただ、投資額でみると、欧米との差は大きい。
 コンサルティング大手アクセンチュアによると、2015年の日本のフィンテック企業への投資額は6500万ドル(約65億円)。前年より20%伸びたものの、世界全体の伸び率(75%)を大きく下回る。首位の米国(約122億ドル)の200分の一にとどまっている。(朝日新聞2016.08.24)

2016.08.24