グローバル人材の育成が急務

拡大する海外市場を攻略するため、日本企業はグローバルに活躍できる人材をそろえなければならない。ところが、こうした人材の確保・育成について、日本企業の対応は遅れている。
東洋経済が主要企業約40社を対象に「グローバル人材(本社や現地法人でマネジメントを行う人材)は足りているか?」を聞いたところ、18社が「足りていない」と回答した。「地域、分野を問わず足りていない(HOYA)」,「経験豊富な経営層、アライアンス交渉ができる人材などが不足(富士通)など、各社の危機意識は強い。

1.グローバル人材の育成が急務!あなたは世界で戦えますか。

慶応義塾大学ビジネスクールの高木晴夫教授は「欧米企業と比べると、日本企業のグローバル人材育成はかなり遅れている」と言う。「これまで日本の企業は海外勤務要員は育ててきたが、海外願地上人のバランスシートまで責任を負う「グローバルビジネスができる人材は育ててこなかった」。
グローバル人材という言葉に明確な定義はないが、一般的には1、グローバルマネジメントができる、2.海外市場に精通している、3.海外と高度なビジネスができる、などが挙げられる。各社へのアンケートやヒアリングを通じてわかったのは、1,2,3全てに関して、グローバル人材が不足している実態だ。
グローバル人材育成のために日本企業が取り組むべき事柄は多い。
第一に、マネジメント能力を持つ経営幹部の育成だ。育成プログラムやグローバルな経験を通じて、戦略的に人材を育てなければならない。第二に、日本人社員の国際化だ。特に英語力のアップは最重要課題の一つ。楽天の社内英語公用語化はその典型と言える。第三に外国人社員の活用だ。そのためには、国籍を問わずキャリアパスを明確化し、能力主義を徹底知る必要がある。第四に、その企業ならではの強みや価値観を浸透させることも重要だ。
もはや日本企業にとってグローバル人材の育成は待ったなし。

(1)楽天、目指すは脱ガラパゴス、社内の公用語は英語、同僚は外国人

社内の公式な会議はすべて英語、社内資料やメールのやり取りも英文、たとえ日本人同士のやり取りであっても、原則として英語を使用―そんな徹底的な英語化を推進しているのが楽天だ。
純粋な内需産業と言っても過言でない楽天が、ここまで英語にこだわるのは、国内市場だけにとどまっていては中長期的な成長が望めないからだ。三木谷会長兼社長は「楽天は世界一のeコマース、ネットワークサービスの会社を目指している」と繰り返し語っている。
国内では日本への留学生を積極的に採用している。10年入社組では398人中17人が外国籍留学生、11年入社組では500人中約70人を留学生が占める見込みだ。
特に情報技術系の開発者については、留学生とは別に、中国・インドでの現地採用を強化している。09年には中国人を5人、インド人7人を、10年には中国人17人、インド人21人を採用した。11年は中印合計で70~100人の採用を見込む。
京都大学大学院の中国人留学生だった何書勉氏(31歳)は、楽天に入社、技術研究所を経て国際市場課副課長、中国進出のリーダーだ。バイドゥとの提携で今年10月に始動する中国でのネット通販サイトの開発責任者を務める一方で、外国人社員の育成やサポートの責任者も任されている。
留学生時代から日本企業内での外国籍社員の位置づけを見てきた何氏は、「多くに日本企業は外国人にサポート役しかさせず、コア部分を触れさせない・これが外国人にとって最もストレスになる」という。「だが、中国人の私が中国事業のコア部分を任されているように、楽天では外国人も日本人も区別はない」。
今や楽天では、多様な人材をまとめる語学力とコミュニケーション力なくしては、出世はおぼつかなくなりつつある。

(2)日産自動車、次世代のリーダーを戦略的に育成する。

経営の最高意思決定機関であるエグゼクティブコミッティ・メンバー10人のうち外国人が5人、日本人が5人という日産自動車。同社はグローバルリーダー育成でも先進的な取り組みを行っている。
カルロス・ゴーン社長は、有能な人材の発掘・育成のため、2000年にNACと呼ばれる人事諮問委員会を設置。人材育成に直接、関与する姿勢を打ち出している。NACの役割は、次世代リーダーの選定と育成計画の作成、そして数百ある幹部ポストでの後継者プランの策定だ。会議は月1回、社長以下、副社長クラスが出席し開かれる。
NACで次世代リーダーに登録された人材は、国・地域や部門の枠を超えた異動やプロジェクトの責任者への任命を行い、マネジメント能力をつけさせる。
日産は、NACを支援する仕組みとして「キャリアコーチ」制度を取り入れている。その役目は、全社員レベルでどの部門にどのような人材がいるかを把握し、主要ポストが空いた場合に、最適な人材を経営陣に提案することだ。社内に5人いるキャリアコーチ(部長級)は、人材発掘のため、すべての会議へ自由に参加できる。いわば社内のヘッドハンターだ。

(3)ローソン、本社を多国籍化する。

日本の本社スタッフや海外法人の幹部候補として、日本企業で働く外国人が増えている。「閉塞感が出てきている中、新しいことをやっていくにはカオスを経験しないとダメ」(新狼剛史社長)
ローソンは2008年から外国人の大量採用をスタート。同年の大卒入社115人のうち10人が外国人で、翌年は122人中39人、今年は88人中17人になった。来年の入社予定組は60人中20人が外国人だ。
中国・上海出身の李スン侃氏は、ローソン本社のITステーションに勤務する入社3年目の社員。店舗に設置されているマルチメディア端末のコンテンツ開発、保守運用などを手掛ける部署である。李氏が日本企業に就職して感じたのは、社員の働くことへの意識の高さと仕事へのこだわりだ。その一方で、仕事の進め方に違和感を覚えることもあるという。「日本企業は10割中8割を決めてからプロジェクトを進めるが、おそらく中国の企業は2割を決めたら、あとはやりながら直していくというスタイルではないか」と推察する。さらに「自分と周りの考え方との違いが、人によるものなのか文化の違いによるものなのか、区別をつけにくい」とも明かす。
外国人社員を特別扱いしないが、配慮はする。モノカルチャーから多様性重視に転換していく。

(4)旭硝子(AGC)、将来の幹部を世界から集め研修、主観的な能力主義から客観的な職務級へ移行

日本首位、世界首位級のガラスメーカーである旭硝子(AGC).1965年に初の海外工場を立ち上げて以来、グローバル化に先頭を走ってきた。02年には、グローバルカンパニー制へ移行し、それまで国単位で分けていた事業部を事業単位で再編成。世界各地で散らばる板ガラス、自動車ガラスなどの事業をカンパニーごとに統合し、トップには外国人を起用した。
現在、主力のガラスカンパニーが本部を置くにはベルギーのブリュッセル。東京本社内にあるのは、地域事業を担当する日本・アジア事業本部だけだ。同カンパニーの社内文書はすべて英語・ガラス事業は欧州を中心に回っている。
「欧州は人材の宝庫。欧州の社員に東京本社や日本の文化をしてもらうことが大事」と平田泰稔・常務執行役員人事・総務室長は語る。
現在、東京本社では37人の外国人社員が働いている。その一人が人事・総務室で経営人事チーム主席を務める、チェコ人のヴェロニカ・スヴィトゥコパ氏だ。将来の幹部候補生の一人である。同氏が担当する仕事の一つが、ダイナミック・リーダーシップ・セッション(DLS)と呼ばれる、グローバル人材育成プログラムの作成と運用だ。
旭硝子はグローバル人材育成と併せて、人事評価・報酬システムの改革にも取り組んでいる。
上司の主観が入りやすく、基準もあいまいな日本的「能力主義」をやめ、職務内容に応じて評価や報酬が変わる「職務給」へと舵を切った。海外では各国の給与の相場を基に、本社の給与体系で再計算することにより、給与を決めている。

(5)野村証券、「リーマン化」に踏み切るリスクと勝算

2008年9月15日米リーマン・ブラザーズ破綻から約1週間後、野村ホールディングスはリーマンのアジア・欧州部門の買収を発表した。その後買収したインドのIT・決済部門と合わせ、約8150人のリーマン社員を継承。野村は、リーマンを飲み込むことで、一気にグローバル企業への脱皮を図った。
買収を機に人事制度も「外資化」を推進。昨年度から導入した「グローバル型社員」(以下G型社員)制度もその一つ。要するに、旧リーマンと同じ人事体系だ。
G型は国内一般社員と違い、専門性を追求するため、部門間の異動が原則ない。報酬は実績比例。1億円プレーヤーにもなれる反面、成績が悪ければ激減し、中心的ポストからも外される。全社員約2万7千人のうち、国内営業部門の1万人強は対象外だが、海外部門1万人強の全員を加え、国内でも旧リーマン社員を含む法人部門の半数強、管理部門の一部を含め役2千人はG型へ転換。転換選択は毎年実施し、できるだけG型へ移行させたい考えだ。
新卒採用でも来年入社組から導入する。「外資に流れていた優秀な人材を取り込むため」で、役40人を想定。投資銀行部門ではTOEIC860点が最低条件。初任給は従来タイプの20万円に対し54.2万円。退職金や年金が少ない分、それらが前払い的に給与にオンされた形だが、それだけ即戦力が求められる。
ただ課題も多い。たとえば人材の流動化。今年3月以降、海外拠点では旧リーマンの部門ヘッドが続々退社した。報酬保証の期限切れのタイミングとはいえ、多くの戦力を失った。「想定していたリスクで当社もようやくグローバル企業の仲間入りをしたということ。寧部昇格などでマネージングしており問題ない」と仲田執行役CFOは言う。だが、有能な人材が抜けた時はすぐにカバーできるほどの国際的な人材吸引力が野村にあるかと言えば、疑問視する見方もある。
これまでの野村の海外展開は、[海外で二流、三流の人材を一流の報酬で雇って失敗した]と野村幹部も認めるように、国際戦略は"鬼門"ともいえ、最近の米国拠点急拡大も含め、その成否が注目される。

(6)世界企業の人材育成

GE:「製品でなく人間を作る」の強烈な自負。スピード重視の集中教育で能力を最大限にストレッチ

世界最大のコングロマリット、GE。事業は電機から金融サービス、エンターテインメントまで多岐にわたり、世界100カ国に約32万人の社員を抱える。ジャック・ウェルチ前CEOの「製品ではなく人間を作る」という言葉に代表される、企業の人材育成において一つの手本になってきた。
4倍の負荷をかけ社員の能力を最大化
GEの人材評価の基本はグローバルで共通。「明快な思考」や[専門性]といった5つのGEバリューと業績に照らし合わせ、すべての社員に対して平等に機会を与える。日本か米国本社かといった採用の国別を問わず、新人から事業会社の社長クラスまで、キャリアステージと専門性に応じた無数の人材育成の場が設けられている。
20~30歳前半の課長職相当の社員への成長機会として設けられているのが、財務やITなど専門分野を伸ばす、グローバル共通のプラン「リーダーシップ・プログラム」。大きな特徴は実務での"負荷"のかけ方だ。一般社員なら1件当たり2年かかると想定される実務上のプロジェクトを、2年間で3~4件達成しなければならない。いわば通常の4倍の速さと密度で遂行するという負荷をかけることで、リーダーに不可欠な決断力やスピード感覚を、凝縮して養うわけだ。
日本GEの八木人事担当取締役は「会社の将来を担える人材には、年齢を問わず大胆に挑戦させる。GEはビジネス同様、人の育成においてもリスクテイクをいとわない」と語る。
言い峰、役員昇進が照準に入った日本の部長級社員には、グローバルリーダー育成のための仕組み「リープ(飛躍)」は日本独自で用意されている。難度の高いプロジェクト1件を1年かけて達成するという点は前述のプログラムと共通だが、リープでは人事役員による定期的な個人コーチングで、「リーダーとしての価値観、軸」を改めて強く意識していくことが特徴だ。
役員に昇進すれば、米国本社を含む世界の経営幹部との議論が日常的になる。そのうえで日本人の弱点となりがちなのが、自己主張の乏しさだという。
八木氏は「日本人リーダーは課題をやりぬく粘り強さは抜きんでているが、自信を持って主張するということが苦手な人は少なくない。激しい議論の場で何かを主張するためには、自分の中に価値軸やフィロソフィーがあるかどうかが重要。リープのコーチングでは絶えず「あなたの軸は何ですか」と問いかけ、日本人の弱点を補っている」と話す。
GEは、米ニューヨーク州に世界初となる社内ビジネススクールを持っている。ここで行われるのが、グローバルな社員対象の経営幹部養成講座「デベロップメント・コース」。年に1回の業績評価の際に、この口座への参加を促されることは、国際的な活躍の舞台が確約されたようなものだ。イメルトCEOら経営幹部も講師を務め、ディスカッションやプレゼンテーションを通じて能力を磨く。加えて重視されるのが人脈づくりだ。スクール併設のバー等で歓談し、研修後も続く人脈を作ることが推奨される。「職階が上がると能力評価の尺度は厳しくなり、あらゆる面での自己研さんが必要になる。世界の仲間と交流したことで視野は格段に広がった。トップマネジメントとの交流を含めて、日常のビジネスの場では得難い啓発を受けた」とGEヘルスケア・ジャパン、グローバルCT事業推進本部長の佐藤氏は語る。日常のビジネスの中でも、講座で築いた人脈を通して情報交換をしあっているという。
世界各国の市場に根付いたビジネスを展開するGEは、現地を熟知した現地の人材を最大限活用するというローカル志向の顔を一方では持つ。だがもう一方では、グローバルな観点から市場と顧客を理解し、GEグループ共通のビジネス目標達成に結び付ける必要もある。この二つの視点を兼ね備えるために、世界の経営幹部候補とネットワークを形成することは非常に重要なのだ。
イメルトCEO自ら、執務時間の3分の1を人材育成に充てるというGE.「すべての部下を最高の状態に導くことはマネジメントの務め」(八木氏)は、人材育成のエッセンスは、人が最大の経営資源であるという大原則にあると言えそうだ。

P&G 多様性を商品につなげる 人事や業務を標準化、ボーダレスの企業文化

P&Gは、180カ国で洗剤や家庭用品を販売し、13万5000人の社員を抱えるグローバル企業。140カ国に上る多様な国籍社員がもたらすアイディアや情報は、強い競争力を生み出す源泉だ。米国の会社だが、経営陣も4割が米国人以外だ。
日本のP&Gでは、約4500人の社員のうち11%が外国籍。そのため上司や部下が日本語を話せないことは珍しくない。
「優秀な人材がいれば、世界中から登用し育成するのがP&Gのやり方」と人事制度を説明するのは、日本法人のヒューマン・リソース・ディレクター、ソン・ドンオン氏だ。
P&Gでは海外赴任は通常2~3年。現地法人が80カ国以上あるため、その国に精通している現地社員を活用するのが基本だ。
P&Gは、世界に散らばる現地法人の社員を的確に評価するため、独自に編み出した世界共通の人事評価制度の仕組みを持っている。
「サクセス・ドライバー(成功のための行動特性)」。大きく分けるとリーダーシップなど組織に貢献する「社員力」、個々の社員の専門性の能力や知性の「マインド力」、急速に変化する状況に対応する「迅速に行動する力」の三つ。社員の能力はさらにそれを三つの分けた9項目で判断される。
ソン氏によると、世界のP&G社員にとって、共通の価値観になっているのが、「PVP」と呼ぶ「企業方針声明書」だ。
PVPは、起業目的(Purpose)、共有する価値観(Values)、行動原則(Principles)の頭文字をつなげたもの。内容は、「誠実さ」「リーダー神父」「信頼」といった価値観や、「私たちはすべての個人を尊重します」といったものだ。これを入社直後から徹底して叩き込まれる。
グローバル展開をするP&Gは、新卒採用を重視している。中途採用もあるが、基本的には内部で昇格していく。共通の文化の下で、自前で人材育成をした方が、結果的に効率的との判断がある。これもグローバル戦略の一つだ。

サムスン 200人が赴任する「地域専門家」 需要を掘り起こせ、生活の中に商機あり

日本の家電企業が大手を振って歩いていた東南アジアの家電市場で、今やサムスンはカラーテレビと両扉型冷蔵庫で1位となった。これは現地語を駆使する能力に優れ、地方都市の隅々まで見通している320人の東南アジア地域専門家があってこそ可能だった。
サムスングループで25年間、人事や経営企画を担当したカ・ジェサン氏は、サムスンの人事経営戦略について、上記のように評価している。
この数年間、大学生の「最も就職したい会社」でつねにトップのサムスン電子。実際入社した社員も、「地域専門家制度」を入社理由として真っ先に挙げる。
地域専門家制度はサムスン特有の人材育成制度である。1990年、当時の李健煕会長の指示で始まって以来、サムスングループがグローバル人材を育てる一つのツールとして利用されている、地域専門家はグループ全体で毎年100~200人程度が選抜され、すでに3000人以上の社員が育った。地域専門家として選抜された社員は、その地域の言語や文化は当然のことだが、業務と関連のある産業の現況まで会得・理解できるよう努める。
地域専門家制度が持つもう一つの特徴は、地域専門家としての体験がその社員の個人的な経験だけで終わらず、オンラインでサムスンの全社員が共有している点だ。
「ケニアでひと月7万5000ウォンで生活した私」「チェコの為替レート変動による生活の変化」「インドの結婚式でみた上流階級の生活」「3D液晶テレビの海外CM撮影地に直接行ってみた」「韓日サッカー評価試合直後に見られた両国の差」これらは最近、サムスンのイントラネットで数多くの閲覧数を記録したリポートの中身だ・すべて地域専門家が書いたもので、彼らが随時、リポートを上げてくる。
海外での売り上げが増え、最近は外国人の募集に力を入れている。特に、世界中に約15万8千人の社員を擁するサムスン電子は、09年10月に発表した長期計画「ビジョン2020」の中で、2020年までに外国人社員比率を、現在の46%(約7万3千人)から65%にまで引き上げると発表。グローバル人材の拡充にさらに力を入れている。
現在でもサムスン電子は海外で常に優秀な人材を確保するために、米国や英国、中国、ロシアなど主要各国に採用担当者を置いているが、ここでのリクルート活動を活発化させ、目標を達成する方針だ。

(7)グローバル人材として勝ち残るための条件

グローバル競争では個人の力量も問われる。求められるスキルと異文化への適応力を探る新たな「賃金格差」が生まれる競合は日本以外にいる今自らを鍛え始めよ デロイト トーマツコンサルティング ディレクター キャメル・ヤマモト氏

グローバル化はビジネスパースンにとっても大きなチャンスだが、一方で「格差」をもたらす。近い将来、どこの国でも通用するグローバル人材と、にほんでしか働けないローカル人材には大きな賃金格差が生まれるはずだ。
重要なのは競争相手は日本人だけではないということ。中国、韓国など、同じアジア系から非常に優秀な人材が出てくる、競争に打ち勝つためには、dせきるだけ早いうちに気づいて、自分を磨くことが大切である。
では、グローバル人材に求められるものは何か。
リーダーシップ:構想力、構造力、行動力(口動力)
専門性:職業的専門、事業的専門、地域的専門
グローバル人材:語学力、異文化理解、コミュニケーション力、人脈では若いときに何をなすべきか?

  1. 英語力は絶対条件で今この瞬間から磨き続けよ
  2. それで食える専門性に食らいつけ
  3. 自分を部下とみなして上司の目線でリードせよ
  4. 早くから外国人と海外業務に交ざり込め
  5. リラックスしつつ心身を絞り鍛え続けよ

(8)リーダーシップの本質とは?

リーダーシップは、グローバル人材の必須要件だ。複雑かつ多様な問題が流動的に起こるグローバル社会では、多様な人材から知見を引き出し、一つの方向に力をまとめて引っ張る能力が求められる。グローバル企業では、人材の国籍は多様で、しかも入れ替わりが激しい。そういう前提で組織として成果を出し続けるには、人が入れ替わっても平気な軸を明確に定めることが必須である。例えば企業のビジョン・目標・戦略、組織構造、必要な人材スペック、仕事のプロセス等を明確の設定しておく必要がある。言い換えれば、その企業らしいゲームを世界中でプレーできるためのルールの提示である。

汎用性のある専門性を磨く

専門性は自分の強みとなる。それも自分の企業だけではダメ。職能的専門、事業的専門、地域的専門の三つを掛け合わせた、汎用性の高い専門性である必要がある。
では組織の中で、どうやって自分の専門性を高めるか。世界的なトップリーダーたちにヒアリングすると、最初は偶然その分野に配属されたということが意外と多い。つまり、具禅の出会いを大切にして生かしている。他方で、5年ごとに自分にたまった専門性のカードを見て、では次に何を加えると強い手になるかと構想し、専門性パワーを向上させることだ。

語学力に加え、コミュニケーション力

語学力、特に英語力は絶対的に必要だ。この点で、日本人は世界有数の怠け者、比類のない言い訳上手。日本企業であっても採用は日本人だけとは限らない。危機感を持った方が良い。そのうえで、異文化と外国人に対する理解を深めること。
またコミュニケーション力も重要。グローバル人材はいろいろな人の能力やアイディアをうまくまとめ上げる、プロデューサーのような役割が求められる。外国人も含めて、さまざまな人と積極的に交わり、人脈を広げておこう。
人脈作りのコツは、「この人の得意分野は何か」という好奇心を持つこと。「得意の交換」を楽しもう。一方、自分自身も普段から信条や得意なこと、興味を持っていることなどをアピールしておくと良い。事故の特徴を表明しておくと、相手にとっても、「この人とはこういう風に付き合えばいいんだな」ということが分かりやすく、人脈が広がるのに役立つ。

以上、グローバル人材を目指す人に勧めたいのは、ある程度、基礎知識を身につけた段階で、早いうちにグローバルな仕事に参加することだ。海外に行けばベストだが、海外とかかわりのあるプロジェクトに参加するのでも構わない。
外国人のいる環境に身を置いて、外国のライバルと接することが一番大切だ。企業に属している人なら、海外の仕事を受けるべく、積極的に手を挙げよ。また、就職や転職を考えている人なら、外国人と一緒に働けるようなグローバルな企業を目指せ。

2.世界へ飛躍のチャンスに 優れた人材を集めよ

石倉洋子 一橋大学教授

  1. 身近に迫る危機は真剣に考え行動する機会
  2. 企業は実力ある外国人を見極め活用すべき
  3. 国は事業環境の整備と人材のオープン化を

急速な円高によって、国内が空洞化するのではないか、という懸念が広がっている。企業が海外に積極的に投資をし、工場などを海外に移管する計画も毎日のように報道されている。円高、高い法人税率、派遣労働の規制などの政府の諸政策の下で、グローバル競争を戦わなければならない企業の中には、もはや海外に行く以外に競争優位性を維持していくことは難しいと主張しているケースも多い。最近の議論の背景には、国内か海外か、という二者択一の考え方が垣間見られる。しかし、海外に脱出したからといって、国内を忘れ去っていいと見られるわけではない。世界の統合化と多様化の両方の傾向をみせ、企業間でも協働と競争が共存する時代に会って、国内か海外かと「OR」で考えると、自ら限界をつくってしまう。それよりも、空洞化をひとつの機会ととらえてはどうか。つまり、これまで日本が世界から隔離されているかのような幻想をいだいてきた私たちが、身近に迫る危機を実感し、企業や個人、国が何をしなくてはならないかを真剣に考え、行動に移すまたとない機会としてとらえることを提案したい。
国境、業界、組織などの境界が消滅しつつあり、世界の「オープン化」が進む中、企業が創業した場所にかかわりなく、事業の場を模索し、決める自由を持っている。少子高齢化が進み成熟した日本市場や経済不安が続く欧米市場よりも、人口が急速に増加し、生活水準の上昇が期待できるアジア市場等をターゲットとする自由、世界を見渡し、人事のスキルレベルとコスト、インフラと競争条件等の組み合わせが最も優れている場所で事業活動をする自由。世界が繋がっている今、こうした自由を求めて獲得する企業のみが、優れた業績を残すことができる。
こう考えると、世界で競争しようとする企業が、事業を続けていくうえで相対的に条件の悪い日本を脱出する動きは自然の流れと考えられる。
「知識経済化」も進み、企業の競争力は知識や知恵を持つ人をどれだけ世界から、見つけ出し、活用できるか、事業の目標のために協働してもらえるかにかかってきている。
今回の円高をきっかけとした海外進出は、企業が本当に実力のある外国人を見極める力を身につけ、能力のある日本人が世界で活躍する機会としては活用できる。
「国内か海外か」「事業活動を自前でするか、外部の組織と協働するか」「日本人正社員か外国人のプロフェッショナルかどちらか」と「OR」で考える選択ではなく、いかに日本と世界を「AND」で結びつけて、新たな形で事業を展開するか。いかにして自社の資産・強みを失うことなく、社外・世界の資産を組み合わせて、瞬時に世界へ情報が波及するスピードに遅れず、新しい価値を世界にもたらすことができるか。これらを両立させること(「OR」を「AND」に)が企業の直面する課題である。
世界のオープン化、情報通信技術の進歩の中で広く考えてみると、個人にとっても国内の空洞化は、世界で活躍するための知識や技術を磨く大きな機会としてとらえることができる。新卒時に国内のブランド企業の正社員になることだけが選択肢ではない。変化が日常となり、世界経済の成長エンジンが日本以外のアジアにあることを考えれば、バイタリティに溢れ、リスクをとる姿勢を持つ外国企業やベンチャーに勤めるという選択肢は広がりつつある。
日本よりもリスクはあってもそれ以上に大きなリターンや成長が期待できる地域で仕事を探す力が、はやい時期から大きな責任やビジネス全般を見る機会が与えられ、リーダーになる訓練を受けられる可能性は大きい。個人も国内か海外か、ブランド企業か無名の企業か、ではなく、自分の可能性が試せる、力がつく、責任ある仕事ができる場を広く探す自由がある。と意識変革してはどうか。
既に仕事を持ち、それほど若くない個人はどうしたらよいのだろうか。今まで勤めてきた会社の仕事を死守するだけしか道はないのだろうか。既得権益を守るだけでは、遅かれ早かれ限界が来る。これまで蓄積してきた知識・技術・経験を活かせる場所を世界に広く求める。例えば、製造業で蓄積してきた生産技術の経験といった財産を、急激な勢いで成長してきており経験者のノウハウが不可欠となるアジア企業において活用する。必要とされている場にいる方が評価されるだろうし、仕事のやりがいもあるだろう。
世界を見渡せば直接的な経済発展のためだけでなく、生活水準の向上のため、人材開発などに力がある企業に立地してもらおうと、交通・通信インフラ、税制、マクロ政策など事業環境の整備に非常な努力をしている政府もある。高いスキルを持つ人材は世界的に不足すると予想されるため、良い人材を集め維持しようと、人材が自由に移動できるオープンな政策を採用しようとする動きもある。
優れた環境を提供して、国をオープン化すれば、国や地域を活性化する力のある企業や才能ある人は、限りない魅力を感じて世界から集まってくる。環境やエネルギー技術、製品やサービスを具体化する創造性、きめ細かい顧客への対応など、優れた資産を持つ日本企業や人材という日本の優れた資産を世界にアピールすることもできる。
世界レベルで優れた企業や人材との直接の接触が増えると、それまでは国内一辺倒だった企業や個人も本来持つポテンシャルが刺激され、駆り立てられ、それまでは考えられなかったような能力を発揮するだろう。切磋琢磨して、両者が力をつけるプラスサムの競争・協働の両立が可能なのである。

日本はどうか。と悩んでいる暇はない。企業、個人が世界に飛躍する大きな機会としてとらえ、行動を起こせば、希望はある。空洞化は恐れるものではなく、新しい始まりである。