リスクこそ自分を鍛える糧

リスクこそ自分を鍛える糧、成し遂げた充足感が次の挑戦へ駆り立てる。

1.市場の矛盾と格闘、競争が改革を加速

数年前の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、「Japan: A Forgotten Power?」と題したセッションが行われた。日本が世界で存在感を失わないためには、企業はもっと国際競争力を高めていかなければならない。それには市場や社会で矛盾をきたしているような仕組みに果敢に異を唱え、それに代わる新しいメカニズムを作り出していくことが重要だ。そこに競争原理を持ち込むことで改革は加速する。社会や企業の変化や発展はその先にあるはずだ。
「我々の組織はずっとベンチャー企業志向であり続けたい。そこに所属する個人は、ずっと起業家精神を持ち続けたい」。企業規模ではなく企業姿勢のことだ。社員一人一人が革新的な意識を持ち、常に高い目標に向けて挑戦し続けるアグレッシブな姿勢こそがベンチャー企業の真骨頂だ。新しいことへの挑戦には必ずリスクを伴うが、リスクこそが自分を鍛
えてくれる。そのリスクを乗り越え、何事かを成し遂げることに喜びを感じられることが大切だ。その充足感が次の挑戦への勇気と跳躍台を与えてくれる。
さあ、21世紀初頭、世界に誇れる日本をここで新たに創るために、議論を超えて個人が一歩を踏み出すことが重要だ。「自分で何かをやってやろう」というバイタリティと気概を持とう。新しいものを創りあげる。このプロセスに楽しみを見出そう。

2.渡り廊下の起業家支援が重要

新規企業の勃興と経済成長率には深い関係がある。起業活動の国際比較と国家経済への影響を調査しているプロジェクトGEM(グローバル企業家精神調査)によると、日本の起業活動の特徴は、次の3点に要約できる。
若手の起業が相対的に活発でないこと、チャレンジングな起業活動の比重がやや低いこと、起業も少ない代わりに廃業も少ない少産少死型であること、だ。
これらにも増して認識しておかなければならない事実は、日本の起業活動人口比率が他の主要国に比べて非常に低いことである。英国5%、米国やインドが10%、中国が15%に対し、日本は3%にも満たない。
起業にも入り口と出口がある。殆どの企業にとって、入り口は個人出資や借り入れであり、出口は東証一部上場である。重要な過程はこの入り口と出口を結ぶ回廊だ。
現在の日本の新興市場の多くは、回廊の出口一歩手前の控え室のような存在であろう。これはこれで重要な意義を持つ。しかしGEMなどをみると、さらにそれ以前の回廊半ばを歩む青少年期の起業を支援することに、大きなテーマがあることが分かる。この点ではジャスダックが創設したNEO市場や東証が計画していると伝えられる日本版AIM市場が注目される。日本証券業協会のグリーンシート市場の改革も大きな楽しみだ。
地味ではあるが自治体や地元経済界と取引所などが連携した、草の根起業プロモーションに一段と力を入れてもらいたい。この分野では、中小企業基盤整備機構や中小企業金融公庫、国民生活金融公庫の存在感が大きい。地域大学との産学連携もさらに強化していくべきだろう。そして何よりも期待したいのが、機関投資家の起業投資への積極参加である。