後発薬 変わる競争軸 急成長バイオ、開発費は10倍

 「洗浄回数を減らして稼働時間を延ばせないか≒精製コストはまだ下げられる」。富士フィルムと協和発酵キリンが3月27目に共同出資で設立した、バイオテクノロジー医薬品の
後発薬を手掛ける専門会社。遺伝子祖み換えや細胞培養の分野に強い研究者間で、連日激しい議論がやりとりされている。
 技術持ち寄る
 協和発酵キリンはバイオ医薬品の開発・製造で国内トップクラスの技術と実績を持つ。そこに富士フイルムが写真フィルムの製造で培った量産化技術を合わせて、高品質のバイオ後発薬を安定生産するのが狙いだ。「製造コストを3割引き下げ、世界シェア20%を目指す」。協和発酵キリンの河合弘行取締役は新会社に高いハードルを課す。
 バイオ医薬品は抗がん剤など薬価の高いものが多く、後発薬が普及すれば国の医療費や患者の経済的負担の抑制につながる。今後、新薬の特許切れで後発薬の発売が相次ぐとみられ、2010年に200億円程度だった国内市場は15年に2000億円と10倍に膨らむ見通しだ。
 ただ、バイオ医薬品は分子構造が複雑で全く同じものを作るのは難しい。新薬と同じ効果や安全性を確かめるため、大規模な臨床試験(治験)が必要。開発費は30億~50億円と一般の後発薬の10倍以上かかるため、単独で手を出せる企業は限られる。この開発費負担の軽減を狙って国内外で合従連衡が動き始めた。
 日韓仏連合も
 富山県滑川市に昨秋完成した日医工の新工場棟。研究施設には韓国のバイオベンチャー、エイプロジェンの研究者が頻繁に訪れる。
日医工は1月、エイプロジェンが開発を進めるリウマチ治療薬「レミケード」(新薬は米ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発)のバイオ後発薬の治験を開始した。韓国の研究者は治験の進捗などについて、日医工の担当者と綿密な打ち合わせを重ねる。
治験には資本業務提携している仏サノフィの日本法人も加わり、後発薬メーカーである日医工の治験の経験の少なさを補う。レミケードは世界で年間6000億円以上、国内でも約650億円を売り上げる大型薬。日医工は日韓仏の3社連合で開発を加速、「トップを切って発売し、先行者利益を得たい」 (田村友一社長)考えだ。
  明治ホールディングス傘下のMeiji Seikaファルマは韓国の東亜製薬と韓国・仁川にバイオ後発薬の製造工場の建設に着手した。16~17年の発売を目指して同社で共同開発している乳がん治療薬のバイオ後発薬などをこの工場で生産する。
 従来型の後発薬市場では大型製品の特許が切れると1度に30社以上が後発薬を発売することもあった。開発費の大きいバイオ後発薬は参入障壁が高く、1製品につき3~4社しか発売できないケースが大半で、先行者利益を得やすい。
 大手でも沢井製薬や東和薬品は参入を表明していないが、市場の成長性を考えると避けては通れない。開発のコスト削減とスピードアップを両立させるための連合形成が続きそうだ。

2012.04.23