武田、糖尿病薬 新方式で 14年度の承認申請目指す

 武田薬品工業は新しい方式による糖尿病治療薬の開発を進める。これまでの臨床試験(治験)で服用後に低血糖が起こりにくい結果を確認しており、日本で2014年度、欧米で15年度の承認申請を目指す。新薬として発売できれば、新興国の生活水準向上などに伴って世界で患者数の増加が見込まれている糖尿病の治療手段の多様化に役立つという。
 武田は現在、この新薬候補を患者に投与して効果を確かめる最終段階の治験を実施中。膠臓(すいぞう)細胞に発生する特定のたんぱく質の働きを高め、インスリンの分泌を促して血糖値を下げる効果を見込んでいる。
 これまでの治験結果では既存の糖尿病薬と同じ程度に症状を改善する一方、必要以上に血糖値を抑える「低血糖」を起こす副作用は少ないことが分かった。低血糖は頭痛や冷や汗、目まいなどが主な症状となり、悪化すると意識不明につながることもあるとされている。
 インスリンの分泌を促す既存の糖尿病薬は服用後、一定時間は血糖値の状態に関係なく分泌させ続けるものが多い。武田の治験では既存薬を服用した患者の16%で低血糖が起きた。新薬候補での発生率は2%だった。このデータは米国の糖尿病学会で報告されたほか、国際的に知名度の高い医学雑誌「ランセット」にも掲載された。
 武田は最終治験の結果を取リまとめた後、日米欧で承認を申請。各国の当局から承認を得たうえで、翌年度の発売を目指す。中国など新興国での開発も今後検討する。
 糖尿病薬の世界市場は約2兆5千億円(業界推定)。今後は中国など新興国での生活水準の向上に伴って患者が増える見通し。米国の調査会社IMSヘルスは15年に最大で480億ドル(約3兆8千億円)まで拡大すると予測している。
 糖尿病や高血圧といった生活習慣病には多くの治療薬が既にある。そのため、既存薬と同じ仕組みで効果が一段と強いことが特長の新薬を申請しても認められにくい。新薬開発では新方法の追求が重要になっている。

2012.05.03