最近の企業動向

外資系・日系主要業種の最近の企業動向は?

起業家OB 若手育成に力 「エンジェル」に転身  出資に加え経営指南

創業間もないベンチャー企業に出資する「エンジェル」と呼ぶ個人投資家の存在感が徐々に高まってきた。IT(情報技術) ・インターネット企業の創案者が株式公開などで得た資金を元にエンジェルになり、ベンチャーを育成する側に回る循環も生まれ始めた。ベンチャーキャピタル(VC)と違い、起業家OBとして経営面でも実践的に指南できるのが特徴だ。
 ディー・エヌ・エーの創業者の一人、川田尚吾氏は2011年6月に同社の顧問に退いたのを機にエンジェルに転身。大学生が講義の履修情報を共有するアプリ(応用ソフト)を開発したラビット(東京・目黒)など約20社のネットベンチヤーに出資する。
 1社あたりの出資額は1千万円前後。出資先の経営者とは最も多いケースで週1回のペースで会い、アプリの細かいデザインから他社との協業の進め方まで相談に乗る。
 ジャスダック上場で個人向けレンタルサーバー事業を手がけるペーパーボーイアンドコーの創業者の家人一真氏も11年3月に同社取締役を退任するとともにエンジェル投資を本格化。ネット関連など約40社に出資する。出資額は1社あたり1OO万~300万円。顧客獲得や社員のやる気を引き出す方法を助言する。
 川田氏は43歳、家人氏は33歳と若く、起業家の苦労も知っているだけに、支援を受けるベンチャーには心強い存在だ。
 起業支援の任意団体、TXアントレプレナーパートナーズ(TEP、千葉県柏市、村井勝代表)はエンジェルと資金調達を希望するベンチャーのつなぎ役を果たす。加入するエンジェルは09年11月の発足当時は10人だったが、現在は99人。日本IBMの北城恪太郎相談役らが名を連ねる。
 3ヵ月に1度開くイベントでベンチャー経営者が事業内容を説明し、エンジェルからの出資を募る。ハイテク系ベンチャーが主な対象で、出資先は血液検査だけで脳梗塞の発症リスクを調べるアミンファーマ研究所千葉市)など12社。必ず一人は非常勤取締役を送り、経営の助言も担う。
 ベンチャー投資育成会社のネットエイジ(東京・目黒、西川潔社長)はエンジェルとベンチャーをつなぎ、資金調達交渉ができるサイトを開設。登録するエンジェルは現在24人、ベンチャーは30社に上る。エンジェルの出資が実現した場合、ベンチャー側から一定の手数料を受け取る。
り、経営の助言も担う。

米に比べ投資は小規模  税制優遇の拡充必要に
 エンジェルの活動が目立ってきた背景には、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)などの普及に伴うアプリ(応用ソフト)開発などの起業ブームがある。
 IT(情報技術)・インターネット業界から転身したエンジェルにとっては事業の可能性を見極めやすい。一方、起業家にとって自己資金で投資するエンジェルは、「他者からお金を集めて投資するベンチヤーキヤピタルに比べ回収期間などの条件が厳しくない」 (ネットエイジの西川潔社長)という魅力がある。
 米国に比べ日本では工ンジェルによる投資はまだ小規模だ。早稲田大学の松田修一名誉教授は国内のエンジェルの投資額を年間50億円前後と推計。「年間2兆円規模の米国との開きは大きい」と指摘する。
 政府は個人によるベンチヤー投資を促進するため、投資家を税制上で優遇する「エンジェル税制」を2008年度に拡充したが、利用は伸び悩んでいる。手続きが煩雑なことなどから、同制度を利用していないエンジェルも少なくない。
 優遇措置の拡充も課題だ。日本ニュービジネス協議会連合会(東京・港)は同制度について、投資元のベンチャーの株式を5年以上保有していた場合、譲渡益を非課税にすることなどを国に要望している。

2012/09/22