最近の企業動向

外資系・日系主要業種の最近の企業動向は?

日本のモノづくりーニッポン製造業の生きる道 チーム力で再生

「想定外」減らすシナリオ ボストンコンサルティング・グループ日本代表 御立尚資氏
  「最も変化できるものが生き残る」。これは経営学者L・C・メギンソンによるダーウィンの「進化論」の解釈だが、この言葉が今ほど当てはまる時代はない。今後20~30年は現在よりもっと変化が大きくなるだろう。
 変化の1つとして、規模のメリットが低下していることを挙げたい。米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ元会長は、各事業が業界で上位に入ることを求めた。だが「業界トップ企業が営業利益率トップである確率」を時系列で見ると、1950年代は3~4割だったのに今は1割もない。
 規模の不経済を含め、変化の背景は「潮流≒技術と競争」「ボラティリティー(変動性)」の3つにまとめられる。
 人口が増え、教育が行き渡り多くの国が工業社会化する。中流の生活を維持しようと各国間で紛争が増える-―。これが「潮流」の側面だ。
 「技術と競争」は、情報のやりとりのコストが下がる「情報の経済性革命」が見逃せない。情報がオープン化し、業界の垣根を越えた「異種格闘技」の競争が起きる。
 「ボラティリティー」の背景には、実体経済よりはるかに大きい金融経済の存在がある。余ったカネが収益機会を求めて動き、変化を生み出す。変化が日常となった時代のなかで、日本企業はどう動くべきだろうか。
 日本と日本企業は、地震や台風などの激変に学び、次に備えることが得意だ。ただ「想定外」を減らすのは下手だ。
 例えば米国には国家情報会議(NIC)が作成した「2025年の世界」の4つのシナリオがある。中国やロシアなど西欧諸国以外が台頭する「西側なき世界」、紛争なで新興国が危機に陥る「BRICs解体」、地球温暖化で巨大ハリケーンが10月に米マンハッタンを襲う「10月危機」などだ。日本企業も低い発生確率でも甚大な影響を及ぼすリスクやチャンスを把握する「シナリオプランニング」の能力を磨く必要がある。
 会社の変化適応力を高めるためには、ルールに縛られた組織ではなく、信頼に基づくチームを構築することが必要だ。欧米の企業は「日本的な飲み会や社員旅行で、仲間意識を深める必要がある」とまじめに考えている。日本企業も海外企業を買収した場合などは、意識して日本的な手法で関係を深める必要がある。
 経営者、リーダー自身は、楽観的であることが必要だ。徹底的に想定外を想定し、できる準備はすべてする。チームを信頼関係でつなぎ、「人事を尽くして天命を待つ」境地までいけば、変化を乗り切り、さらに自ら変化を生み出すこともできるはずだ。

「医・職・柔」で新境地開け
日本政策投資銀行産業調査部チーフエコノミスト 鍋山 徹氏
 日本のものづくりには「品質管理能力」 「課題に真摯に向き合う姿勢」 「多様な産業の存在」という3つの強みがある。一方、弱みは社会や市場との対話力だろう。外国に
行っても意識は日本にある本社を向いている。その国の社会に背中を向けていては企画・マーケティングカは高まらず、いい製品も生まれない。
 他にもいくつかの課題がある。例えば、女性の経営参画や、企業を育てようという金融機関の姿勢が足りない。為替の変動が激しいことによる影響も大きい。
 「前門の虎、後門のオオカミ」という言葉がある。日本のものづくりにとっての前門は欧米企業。厳しい競争を映して欧米では企業の統合が進んでいる。そして後門からはアジアをはじめとした新興国企業が追いかけてくる。日本の企業はこの2つを相手にしながら、国内での過当競争にも直面している。
 為替の問題、新興国の台頭、少子高齢化などを背景に日本企業の営業利益率は下がっている。今後は「医(医療)」 「職(シニアビジネス)」・「柔(バイオ技術)」という分野に注力し、新しいコンセプトの製品を作って新興国企業との差異化を図っていくべきだ。
 日本企業は技術者がコツコツと知見を積み上げて「あり得る未来」に進む。一方、`米アップル社は他社の技術も使い消費者が「こういうものが欲しかった」と思うような商品を作り上げた。こういう消費者をワクワクさせる商品は長続きする。
  「ありたい未来」を実現するためにはアップルのように他社の技術も使うなどアウトソーシングの推進が欠かせない。日本には多様な産業かおるが、異なった分野の知見を持つ人同士の交流が少なく、技術の融合ができていない。グローバル競争に勝ち技くためには、既得権益から生まれる「村人的な発想」をやめて総力戦で挑む必要かおる。
 ものづくり総力戦に向けたキーワードは「Re・Pro・De」だ。Reは過去、Proは未来、Deはデザインを意味する。今ある資源(過去)を未来に向けてまとめ上げ、それを消費者に対してどのようにデザインし表現していくのかが問われる。

2012/12/06