最近の企業動向

外資系・日系主要業種の最近の企業動向は?

創業支援VC 期待の起業 丸ごと育成 主要9社昨年、投資額53%増

経営指導や施設も提供
 創業初期のベンチャー企業を支援する新しいタイプのベンチャーキャピタル(VC)が存在感を増している。日本経済新聞社の調査で主要9社の2012年の合計投資額はH年比53%増えた。出資のほか経営ノウハウや事業拠点も提供。アイデアに魅力があればVCが後見役となり起業家と二人三脚で事業を育てる。この流れが定着すれば、米国などに比べ見劣りするとされる日本の起業環境の改善につながりそうだ。
 こうしたVCは「種の成長を加速させる」という意味でシードアクセラレーターと呼ばれ、1社に数百万から3千万円程度を出資する。ここ3年間ほどで増えてきた。
 VC経営者らが起業経験を持っていることが多く、組織づくりや販路開拓など様々な面で的確に助言できる。従来の金融機関系VCと比べ、事業計画の完成度などよりもアイデア自体や起業家の人となりをより重視する傾向がある。
 12年はIT(情報技術)やインターーネット分野を中心に9社で延べ98社に合計14億9150万円を投資した。投資先の企業数はH年比61%増えた。同年から投資を始めたモビーダジャパン(東京・港)は15社に500万円ずつ投資した。
 13年の投資額は6社が 「増やす」、3社が「変わらない」と回答した。サムライインキュベート(同・品川)は今月末に4本目のファンドを立ち上げる。投資額は1社400万円弱。3年で440件の投資をめざす。サンブリッジグローバルベンチャーズ(同・港)も新たなファンドを設立し、13年の投資額を5倍に引き上げる計画だ。
 注目する投資分野は、3社が「教育」をあげた。同分野ではIT活用が十分進んでおらず、非効率な面が残っている。サイバーエ―ジェント・ベンチャーズ(同・港)は「ITの利便性で課題を解決できる」とみる。
 ものづくり関連のベンチャー投資に力を入れるVCも3社あった。低コストで試作できる3次元(3D)プリンターの普及などで製造業も起業しやすくなっている。
 特にネット関連事業は成長のスピードが速く、他社による買収に伴う株式譲渡や、新規株式公開でVCが早期に資金を吸収しやすい面もある。調頁では、12年に投資先を他社が買収したケースが延べ5件(11年は1件)、新規株式公開は同6件(同1件)あった。
 昨秋にはグリーが携帯電話向けゲーム開発会社のポケラボを138億円でVCのインキュベイトファンド(同・港)などかう買収した。インキュベイトの本間真彦代表パートナーは「投資先を成長させ、売却した資金を次の投資に回す好循環が生まれ始めた」と話す。

「離陸」のハードル低く 企業の新陳代謝を促進
 日本の開業率(第1次産業以外、事業所ベース)は06~09年平均で2.6%にとどまる。欧米では「エンジェル」と呼ぶ富裕な個人投資家などが創業期のベンチャー企業に資金を供給する役割を果たしている。だが日本では初期段階の支援が手薄で、従来のVCもある程度の実績が出てから出資する場合が多かった。
 現在クラウドコンピューティングやスマートフォンの普及で、多額の設備投資をせずに起業できるようになってきた。国内で若者を中心に起業意欲が高まっている。「離陸期」を支えるVCが増えて起業のハードルがさらに下がれば、企業の新陳代謝が進み、経済の活性化にもつながる。
 モビーダジャパンの孫泰蔵社長はソフトバンクの孫正義社長の弟で、ゲーム開発会社ガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業メンバー。経験を若手起業家に伝えるため、自ら講師を務める勉強会「モビーダスクール」を週1回開く。
 SNS(交流サイト)を活用した旅行企画サービスを手がけるトリッピース(東京・渋谷)の石・田言行最高経営責任者は勉強会に参加し「目先の業務に追われていたが、少し先のビジョンを考えるようになった」。実務ではサイトのデザイン設計などのノウハウを得られた。
 サイバーエージェント・ベンチャーズなどは起業支援施設を持ち、周辺相場より安い賃料で投資先に提供する。
 同社から出資を受けた人材サービスのAISTAR(同・港)も支援施設に拠点を置いている。起業家が集う場には単なるコスト削減以外のメリットがある。同社の高瀬俊誠最高経営責任者は「お互いをライバル視し、よりよいサービスを考える刺激になっている」という。

2013/01/29