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国際会議「世界文明フォーラム2012」 芸術文化の果たす役割

脱物質へ自分に多様性を 教育で宗教を考える視点を
第3セッション「芸術文化の果たす役割」では、21世紀の世界文明のあり方や、芸術文化が寄与できることは何かを巡り議論が交わされた。
 呉建民・元中国外交学院院長は「世界は大きな変化に直面している」と指摘した。グローバル資本主義の行き詰まりについて触れ、あらゆる分野で持続可能な発展システムを「再考する過程にある」とし、新たに構築する文明は「対立」ではなく「共存」を志向すべきだと訴えた。
 20世紀後半からのアジア諸国の台頭は東洋文明の評価としてもとらえるべきだと指摘。西洋文明の下地には「善と悪などの二元思考」があり、「他人を自分のやり方に従わせようとする方法だった」。だが東洋文明では「調和とは自らをまず変えることだ」と説明、その思想が今こそ求められると話した。
 ジョージ・ヨー・シンガポール国立大リークワンユー公共政策大学院客員教授も「競争と協力を同時に行う文明の高みに人類はたどりつけるか、我々は試されている」と語った。人種、宗教、政治体制と世界は多様性に満ちている。「それぞれの違いを互いに認め合い、対立を乗り越えて前進すれば21世紀は平和の世紀になる」と訴えた。
 これを受け田坂・多摩大大学院教授は「他者との違いを受け入れることは大前提」と賛同し、次に行うべきは「自分自身の中の様々な価値観を見つけて生きることだ」と語った。
 例えば大企業の管理職になって対外的なプライドを満足させるなど、「人間は一つの価値観に縛られて生きてしまいがち」と考察。物質的幸福から精神的幸福へ、人類は進化の時を迎えているとし、「自身の中にある多様性を一人ひとりが実現しなければならない」と主張した。
 文明の転換点に芸術文化はどんな役割を言えるのか。スーザン・ネイピア・米タフツ大日本学教授は「日本は第2次世界大戦、景気後退、東日本大震災と大きなトラウマにつながる事件を経験している」と語った。その上で、アニメーションの宮崎駿監督を「各時代の社会不安を認識した上で、人々のトラウマを癒やすモデルを作品で提言してきた」と評価し、芸術文化の力を強調した。
 森本公誠・東大寺総合文化センター総長は「芸術文化は、宗教のような精神的価値を抜きにして語れない」と提言。「教育で宗教を考えることがなく、行政でもその視点が欠けていた」と明治以降の日本社会全体が人間とは、生きるとは何かという根源的な問いを考えてこなかったと分析。21世紀は「心の質的転換」が求められる時代と説き、「人間の情感に訴えかける宗教」に接する重要性を訴えた。
 さらに、巨大化した国際金融資本が国家財政を翻弄する現状を憂慮。多様性の確保に向けて「文化は現実とどう向きあうべきか」との問題提起もなされた。

2012/02/20