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システム技術者 クラウドに転換

富士通 3年で3000人再教育 NEC来週までに3割対象
 IT(情報技術)大手がシステム技術者(SE)の再教育に乗り出す。ネットワーク経由でソフトウエアや情報システムを提供するクラウド事業を拡充するのが狙い。富士通はグループ全体で3千人を対象に実施。NECはSEの3割を同分野に対応できる人材に育てる。システム市場の構造変化に対応し、割安なクラウドサービスで売り上げを伸ばしてきた新興勢力に対抗する。
 システム各社のSEはこれまで、顧客企業の要望に沿ってプログラムを組む受け身の業務が主体だった。クラウドサービスでは、顧客にシステムの新しい使い道や価値を積極的に示す提案力の巧拙が顧客争奪戦での競争力を左右するようになる。
 ITサービスで国内最大手の富士通は約3年かけて、グループ全体のSE約3万人のうち約1割を新たにクラウド分野に強い人材として再教育する。社内外で1年程度研修する。サーバーを効奎よく使う仮想化技術などクラウド関連に加え、顧客企業の情報システムの課題を抽出する能力などを習得させる。
 NECは来春までに、約3万人のSEのうち、1万人強をクラウドなどサービス分野に強い人材に転換する計画だ。すでに7割については再教育を完了。今後1年かけ、さらに3千人規模を追加で再教育する。同社はクラウド分野で米マイクロソフトと提携するなど、事業強化を急いでいる。
 日本ユニシスは4月1日付で「システム基盤開発技術部」を発足させた。全社の技術者の13%に相当する約350人の開発要員とSEを集め、クラウド関連サービスに専念させる。
 日本IBMも部門を横断したクラウド組織を設けた。兼務で数百人が所属する。
 米調査会社によると、世界のクラウド市場規模は2015年に700億ドル(約5兆7千億円)と、現在の2.5倍に膨らむ可能性がある。
 独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)によると、国内のSE数は101万人(10年)。同機構は、日本のIT産業の国際競争力をテコ入れするには、提案力などSEの総合力向上が不可心と判断し、評価手法の目直しなど制度改革を進めている。

従来型技術者に余剰感
海外勢と競争激化、対応急ぐ
日本の企業や自治体がITシステムに投じる資金の総額は年10兆円規模とされる。このうちクラウドサービスの比率はまだ数%と小さいが、低価格や使い勝手の良さから急拡大している。数年で2~3割に達する見通しだ。海外勢も含めた厳しい競争を勝ち抜くにはシステム技術者(SE)を中心とする人材力の強化が不可欠になっている。
 企業は顧客管理や人事・給与など、業務のあらゆる面でITシステムを活用している。従来は富士通やNEC、日本IBMなどIT各社のSEが個別に企業の要望を聞き、システムを構築してきた。
 だが近年急速に普及しているクラウドサービスでは、顧客企業は共通のシステムを通信網経由で使うため、個別のシステム構築が不要になるケースが多い。こうした変化を背景に「従来型のSEは余剰感が強まっている」(外資系アナリスト)のが現状で、中小システム会社では人員削減が相次いでいる。
 富士通などはSEを削減するのではなく、再教育によりクラウド分野の技術力やノウハウを蓄積し、同分野で事業を拡大する方針だ。
 ただ、クラウドサービスでは米セールスフォース・ドットコムなど新興勢力が日本で事業を強化している。既存事業者にとっては顧客獲得競争が激化するほか、1件当たりの受注単価も大きく目減りする。
 昨年10月には住商情報システムとCSKが合併してSCSKが発足するなど、クラウドの普及を核とする競争環境の変化は業界再編の呼び水となりつつある。

2012/04/12