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雇用 和らぐ過剰感 事務・管理職も過不足ゼロ

職種・年齢 なおミスマッチ
 雇用の過剰感が薄れてきた。事務職と管理職は今年に入って企業が「過不足ゼロ」とみる状態となり、2008年秋の金融危機(リーマン・ショック)後に続いた人余りが約3年ぶりに解消した。復興需要や製造業の生産の伸びなどで経済活動が拡大してきたためだ。ただ年齢や地域の問で求人と求職のズレはなお大きい。
リーマン前水準
 労働者の過不足を3カ月ごとに企業に聞く厚生労働省の調査によると、正社員は5月まで4期連続の「不足」となり、産業全体では人手が足りない状態だ。09年以降「過剰」が続いた事務職と管理職も、2月以降は過不足がなくなった。
 事務や管理は希望者が多い割に、企業は採用を控える典型的な職種だ。コンピューターに置き換わり事務の合理化が進んでいる面もあり、就職の環境は総じて厳しい。
 過不足は人手の「不足」とみる企業の割合から「過剰」と答えた割合を引いた値(DI)で測る。事務職のDIは09年2月にマイナスHまで下がったが、2月にはプラスーに浮上。管理職は5月にゼロとなった。
 販売職やサービス職のDIはプラス圏内で上昇が目立つ。直近は08年8月当時と並び、これらの不足感はリーマン・ショック前に戻った。
背景に復興需要
 雇用の過剰感が解消されてきた背景には東日本大震災からの復興需要や消費の復調を支えとする景気の持ち直しがある。日本経済は4~6月期まで4期続けてプラス成長となり、震災後の昨年4月に0.62倍だった有効求人倍率は今年6月に0.82倍まで回復した。厚労省の調査では企業の約2~3割が「正社員が足りない」としている。
 ただ、企業の感触と、仕事を求める人々の希望は必ずしも重ならない。特に医師や看護師など専門・技能職で深まる人手不足と、事務・管理職の人余りという「職種のミスマッチ」は日本の労働市場が抱える課題だ。
 不安は大きいままだ。一般事務職(正社員)の求人は6月で約6万2千人だったのに、求職者は約40万9干人。求人倍率は0.15倍にとどまり、就職の希望はほとんどかなえられていない。
 「年齢のミスマッチ」も目立つ。東京労働局が関東地区の求人・求職を年齢別に整理すると、6月の事務職の求人倍率は34歳以下だと0.23倍だが、45~54歳だと0.14倍に下がる。管理職は一段と求人と求職のずれが大きい。求人倍率は34歳以下の2.72倍に対し、45~54歳は0.35倍に急落。55歳以上は0.23倍で、年齢が高いほどポストを得にくい。
 求人に沸くのは若年の管理職などごく一部に限られており、雇用全体の安定にはほど遠い。300万人弱いる失業者が着実に減っていくかどうか
は不透明だ。

地域格差は拡大 北陸・東北改善
 雇用改善の地域差が目立っている。直近の数字がある今年6月は首位の福井(1.22倍)と最下位の沖縄(0.41倍)で約3倍の差が開いた。
 福井県は地場の繊維産業が堅調だ。薄手の軽量素材に続き、自動車用や医療現場の人工血管向けにも販路を広げる。北陸地方はスマートフォン向けや車載用電子部品のメーカーも集積する。
 求人倍率の2位は愛知県の1.2倍。08年秋のリーマン・ショック後は0.48倍まで沈んだが、エコカー補助金の効果で自動車がけん引している。復興需要の恩恵を受
ける宮城県は3位に浮上。岩手、宮城、福島の3県では建設業などの人手不足感が強まり、求人倍率はほぼ19年ぶりにそろって1倍を超えた。 回復が遅れるのは沖縄や北海道(○・59倍)。新規求人に占める製造業の割合が10%を超す地域が多い中で沖縄は3.3%、北海道は6.6%にとどまり、雇用吸収力の大きい製造業を頼みにくい。ただ介護や医療に限り求人倍率をみると北海道と沖縄は1倍を超える。人手がかかる分野に求職が向かう仕組みを整えることが必要だ。

2012/08/27