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やりがい求めて海外転職 会社員次の生き方 ロングライフを見据えて

経験と専門性活かす
 中高年になって転職先として海外を選ぶ人がいる。それまでに身につけた専門性をよりどころに、日本とは異なるやりがいを求めて海外へ向かう。新興国の経済成長に加え、ネットなど通信環境の発達で、海外への転職のハードルは徐々に低くなってきているようだ。
 マレーシアのペナンで、この1月まで3年余り働いていたのが早川第四郎さん(65)。自動車部品などプレス成形のカサタニ(大阪市)の現地法人トップとして、300人余りの工場従業員を東ねてきた。
現地の発展に寄与
 早川さんの転職はこれが2度目だ。松下電器産業(現パナソニック)で主に技術・開発畑を歩んできた早州さんは定年1年前の2005年に早期退職した。脚立や自動車関連製品製造の企業に転じて中国事業などを担当。現地工場への出張を繰り返した後、09年に海外事業の管理職を探していたカサタニに声をかけられ再度転職。兵庫県の自宅がらペナンヘ単身赴任した。
 松下電器産業在職時の90年代にシンガポールヘの赴任経験があり「海外生活に抵抗はなく、現地の発展に役に立てるとやりがいを感じた」 (早川さん)。
 日本とは異なる習慣や気候、食べ物の違いに戸惑いはなかったのだろうか。早川さんは「もともと現地の食や文化を楽しめる気質。それに海外どこでも主要都市なら日本食がある。インターネットで家族とのやりとりも問題ない」といい、仕事のやりがいと、自らが望む生活の質の双方でペナンの生活は自分に向いていたと話す。働くのは65歳までと考えていたが、また海外外で働けないか思案中だ。
 定年前の海外転職について、労働法や雇用政策が専門の諏訪康雄法政大学大学院教授は「求人は海外勤務経験のある人に集まりがち。転職前の海外赴任地で人脈を意識的に構築しておけば、後々の求人につながりやすい。製造業などは国境を超えて拠点が広がっており、もとの赴任先や周辺国で仕事が見つかりやすくなる」と助言する。
 海外のプラント事業などに人材を派遣している工―アイエル(東京都千代田区)の稲塚博社長によると、要求される語学は英語が基本。「技術の専門性が高ければ、語学力が低くても通訳を付けてくれることもある」 (稲塚社長)といい、技術の専門性が高いほど語学力は低くても許容される傾向があるという。ただ、現地従業員と図面などをもとに仕事の意思疎通ができる程度の語学力は身に付けておくのが基本のようだ。
 海外の事業所では、最近は複数の国から働きに来ているケースも多い。実際、ペナンで早川さんは、地元のマレーシア人だけでなく、インドネシアやベトナム、ミャンマーなどから来ている人たちと英語を軸にやりとりしていたという。
 一方、中高年になるのを待たず、30代半ばであえて海外に転職し、将来を見据えて海外で経験を積むことを選ぶ人もいる。深世古友希さん(36)は、1月からバンコクに本拠を置くリコーのタイ現地法人で働き始めた。日系や欧州系などの現地企業向けに事務機器類の営業を担当している。
 生活の質は向上
 一昨年までは三重県の雑貨輸入商社で働いていた。20代の時に米国へ2年間留学した経験があり「いつかは海外で働きたいと思っていた」。昨年にタイに渡り、現地の人材仲介会社SAGASSを通じて今の職を見つけた。社内は大半が現地の人。英語で意思疎通をしているが「タイ語を勉強中。こちらの人との交流を深めるためになるべく早く身につけたい」と意欲的だ。
 給与は円換算では日本にいた時の半分程度に減ったものの、タイは物価が安く支出も大きく減少。「食も人も国際色豊かな都市。生活の質は逆に上がった」
 日本の友人や家族とのやりとりは、無料の通話・メールアプリや動画通信を使っており「ほとんど距離を感じない」という。ネットを介せば日本の情報もすぐに手に入り、通信環境の発達が心理的な距離を大きく縮めている。深世古さんは「数年間はタイで働き、いずれは別の国でキャリアアップすることも選択肢にはある」と将来を見据える。
 異文化の中で専門性の高い仕事をこなせる人材は、国内外の企業から「国籍を問わず需要がある」 (工―アイエルの稲塚社長)といい、韓国やインド資本などの会社で働く人もいる。ただ、海外への転職は子育て世帯は難しい。仕事の経験値が高く、子育ても一段落した中高年だからこそ挑戦できる選択肢のひとつといえそうだ。

アジアに求人多く
海外への転職を探るには①海外転職仲介のサイトや企業に登録②海外への人材派遣企業に登録③自らの人脈で探す、3つのケースが多い。①と②は仲介先の国や業種に得意不得意がある。希望業種や国が明確なら、そこに詳しい企業やサイトを探すのがよい。
 海外への転職サイト「ワールドポスト」を運営する長島紀彦さんによると、同サイトでの日本人の求人はアジア諸国などが上位。同サイトでは年間300人余りの海外転職が決まり、求人を出す登録企業(約780社)は飲食業が4割ほどで最多。現地顧客向けの仕事が多いものの、日本語学校や学習塾など主に日本語を使う職や、日本向けの仕
事を請け負うIT企業からの求人も出てきている。
 求職者の6割が30歳以上で「中高年の海外転職は増えている。日本で就業し、ある程度技術を身につけた後に海外に転職する人が多い」 (長島さん)。求められる専門性は3年以上その分野で働いた経験かあるかどうかが目安。採用面接はネットでの動画システムの利用が増えている。顧客が聞き取れる水準の言葉(多くは英語)を話せるかなどがチェックされるようだ。

2013/03/25